毎年東大合格者数で、開成や灘としのぎを削る日本屈指の超難関校筑波大学附属駒場中学校の入試問題を解きたいと思いますが、今日の問題は「場合の数」です。
「場合の数」と言えば、以前、塾講師の同僚の数学の先生に、笑いながら言われたことがあります。
「場合の数の問題は、500通りぐらいだったら、全部書き出した方が簡単、確実で速いですよ!」
その先生は九州大学の数学科を卒業された数学のスペシャリストで、私は、数学で分からない問題はその先生によく聞いていたのですが、その先生が笑いながら言うので、バカにされているのかと思いましたが、そうではありませんでした。
彼は、さらにこんなことを教えてくれました。
ある予備校の東大・京大レベルの難関クラスに、「場合の数は、書き出せ」と指導する数学の先生がいたそうです。
しかし、東大・京大を受験するほどの生徒たちですから、どんなに難しくても、式を立て、効率よく、一秒でも速く、華麗な解答を目指すならまだしも、一から順に場合の数を書いていく生徒などおらず、その先生の授業をとる生徒が激減したそうです。
しかし、その先生の授業を受け続け、先生の言う通り、場合の数を書き出して解くようになった生徒は、全員志望校に合格したのだそうです。
まあ、場合の数を全部書き出すだけで、東大・京大に合格できるわけではないでしょうし、普通に式を立てても解ける生徒さんも多かったと思いますが、場合の数や確率が苦手な生徒でも、全部書き出せば、確実に解けるということをその先生は伝えたかったのかもしれませんね。
公式や解き方が分からなくて白紙の答案を出すぐらいならば、初めから全部書き出すぐらいの執念があれば、天才でなくとも、筑波大学駒場中や東大・京大などの超難関校に合格できるのかもしれませんね。
というわけで、今日は、筑波大学附属駒場中算数入試1⃣を解いていきましょう!
2020年 筑波大駒場中 1⃣(1)(2)場合の数
(1)A50円、B100円の品物をどちらもそれぞれ少なくとも1個は買うという条件なので、それぞれ1個ずつ買うと、代金1000円のうち、まず、50円+100円 = 150円 かかるので、残りは、
1000円 ー 150円 = 850円 となるので、
A50円、B100円の品物で、850円になる組み合わせは、
(A、B) = (17個、0個)、(15個、1個)、(13個、2個)・・
と、Aが2個減ると、Bが1個増えるので、17÷2 = 8あまり1
よって、(A、B) = (17個、0個)、(15個、1個)・・(1個、8個) の9通りとなる。
*実際には、最初にA,Bの商品を1個ずつ買っているので、1000円の代金の組み合わせは、(A、B) = (18個、1個)、(16個、2個)・・(2個、9個)となるが、組み合わせが9通りになるのは同じことである。
(2)、(1)と同様に、A50円、B100円、C150円の品物をどれもそれぞれ少なくとも1個は買うという条件なので、それぞれ1個ずつ買うと、代金700円のうち、まず、50円+100円+150円 = 300円 かかるので、残りは、
700ー300 = 400円 となるので、
C150円、B100円、A50円の品物で、400円になる組み合わせは、
(C、B、A) = (2個、1個、0個)、(2個、0個、2個)、(1個、2個、1個)、(1個、1個、3個)、(1個、0個、5個)、(0個、4個、0個)、(0個、3個、2個)、(0個、2個、4個)、(0個、1個、6個)、(0個、0個、8個) の10通りとなる。
*(1)と異なり、3種類以上の金額の組み合わせを書き出す場合は、上のように、金額が大きいもの→小さいもの、個数が多い→少ないで書き出していく方が、書き間違いや書き忘れが少なくなります。
*(1)同様、実際には、最初にA,B,Cの商品を1個ずつ買っているので、700円の代金の組み合わせは、上の(C、B、A)の組み合わせに1個ずつ足した
(C、B、A) = (3個、2個、1個)、(3個、1個、3個)、(2個、3個、2個)・・・(1個、1個、9個)
となるが、組み合わせが10通りになるのは同じことである。
2020年 筑波大駒場中 1⃣(3)場合の数
(3)この問題もまずは、X47円、Y97円、Z147円の品物をどれもそれぞれ少なくとも1個は買うという条件なので、それぞれ1個ずつ買うと、代金1499円のうち、まず、47円+97円+147円 = 291円 かかるので、残りは、
1499円ー291円 = 1208円 となるので、(1)、(2)同様、47円、97円、147円の組み合わせを考えたいが、
1208円 ÷ 147円 = 8.21‥ 1208円 ÷ 97円 = 12.45‥ 1208円 ÷ 47円 = 25.70‥
などと、割り切れないので、組み合わせが簡単に分からない。
そこで、まず、X47円、Y97円、Z147円は全て一の位が7円であり、それがいくつか足されて、一の位が8円の1208円という金額になる。
よって、7の倍数で一の位が8になる数を考えると、7×4=28 なので、X,Y,Zの商品の合計個数は、4個、14個、24個・・など、一の位が4の個数となる。
ただし、上の個数の割り算
1208円 ÷ 147円 = 8.21‥ 1208円 ÷ 97円 = 12.45‥ 1208円 ÷ 47円 = 25.70‥
を見てみると、一番高額のZ147円だけでも8個より多く必要で、一番安いX47円だけだと、26個だと多すぎるということが分かるので、X,Y,Zの商品の合計個数は、14個か24個になることが分かる。
そこで、まず14個の場合を考える。 14個全て、一番高額のZ147円だとすると、
147円×14個 = 2058円
合計金額は、1208円なので、14個全てZ147円だとすると、
2058円ー1208円 = 850円 高すぎる。
よって、Z147円をX47円やY97円にいくつかずつ置き換えて、850円分安くする必要がある。
ここで、Z147円をX47円に置き換えると、
147円ー47円 = 100円安くなる。
また、Z147円をY97円に置き換えると、
147円ー97円 = 50円安くなる。
1個100円安くなるXと1個50円安くなるYの組み合わせで、850円安くするには、(1)の組み合わせを利用すると、9通りある。
しかし、XとYを合わせて14個以下になる必要があるので、(1)の組み合わせのうち、
(100円安、50円安)=(3個、11個)、(4個、9個)、(5個、7個)、(6個、5個)、(7個、3個)、(8個、1個)
の6通りがあてはまる。
この場合、X,Y,Zの組み合わせは、
(X,Y,Z) = (3個、11個、0個)、(4個、9個、1個)、(5個、7個、2個)、(6個、5個、3個)、(7個、3個、4個)、(8個、1個、5個)
となるが、実際には、最初にA,B,Cの商品を1個ずつ買っているので、代金1499円になる組み合わせは、
(X,Y,Z) = (4個、12個、1個)、(5個、10個、2個)、(6個、8個、3個)、(7個、6個、4個)、(8個、4個、5個)、(9個、2個、6個)
の6通りとなる・・①
次に、24個を考える。 24個全て、一番安いX47円だとすると、
47円×24個 = 1128円
合計金額は、1208円なので、24個全てX47円だとすると、
1208円ー1128円 = 80円 安すぎる。
よって、X47円をZ147円やY97円にいくつかずつ置き換えて、80円分高くする必要がある。
ここで、X47円をZ147円に置き換えると、
147円ー47円 = 100円高くなる。
また、X47円をY97円に置き換えると、
147円ー97円 = 50円高くなる。
これでは、どうやっても80円高くできないので、24個の組み合わせはない。
よって、答えは、①の場合の6通りである。
今日のまとめ
今日は、問題文最後に
「ただし、どの品物もそれぞれ少なくとも1個は買うものとします。」
とあるため、最初に1個ずつ買った条件で、残りの金額を改めて各商品に分配することになります(最初に1個買っているので、残り金額を改めて分配する場合、0個の商品があっても構わないことになります。)
ところで、この手の問題は、高校1年で学習する数学Aの「場合の数、確率」でよく出題される問題条件です。
このように、場合の数や確率は、中学2年時や高校1年時に習い、高校受験や大学受験でも出題される単元なので、筑波大駒場など超難関校になると、中高レベルに届くような入試が出題されることがありますね。
そうは言っても、今日の問題では、(1)、(2)は丁寧に数えれば、解けるはずです。
(3)は難しいですが、50円と100円の組み合わせで850円を作るという(1)の解答に気づくか、利用できるかどうかが正答のかぎになります。
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